第9回大会 一般口頭発表

12月4日(土)第1日目

11:20-11:40
「委託林利用の実態――上屋久営林署「委託林関係一覧表」(昭和8~12年)を読む」
中島成久(法政大学)
前岳部の森林資源の利用と管理は村持ち支配林として江戸時代以来屋久島の各集落によってなされてきたが、国有林に編入された明治期以降はその様相が一変した。1921年発布された「屋久島国有林経営の大綱」(いわゆる屋久島憲法)で屋久島の20集落に約7,000町歩の委託林が与えられた。しかし委託林利用が実際に始まるのは、各集落に委託林実行組合が結成された昭和初期のことである。上屋久営林署が作成した「委託林関係一覧表」に始まる一連の統計資料は、楠川・椨川、宮之浦、志戸子、一湊、吉田、永田・瀬切集落の委託林利用の実態を詳細に報告している。その一部について、「洋上アルプス」のNo.317で報告したが、今回はさらに詳細に検討する。

11:40-12:00
「屋久島低地照葉樹林の保全を求める要望書」提出とその後の展開
手塚賢至(屋久島照葉樹林ネットワーク)
「高い植物多様性を擁する屋久島の低地照葉樹林の環境保全を求める要望書」提出とその後の経過を報告します。

12月5日(日)第2日目

10:00-10:20
「サル・シカ・枯死木:屋久島で紐解く新たなつながり」
栗原洋介(静岡大学)
枯死木は森林に大量にあるだけでなく、生物にすみかを提供したり物質を貯蔵したりするなどの重要な働きをしています。私は哺乳類と枯死木の関わりを明らかにするために、屋久島・西部林道で枯死木放置実験を行っています。定期的に枯死木の大きさを計測するとともに、自動撮影カメラを用いて枯死木を訪れる哺乳類とその行動を記録しています。今回はサル・シカの行動と枯死木の体積減少の関連についてお話しします。

10:20 -10:40
「ヤクシカの大腸菌:食中毒起因因子と薬剤耐性について」
安藤匡子(鹿児島大学)

全国的にシカの生息数とそれに伴う被害報告が増加している。対策の一環としてジビエ(食肉)とすることが推進されている。ジビエの安全性を評価するためには、シカの病原体保有調査が重要である。ヤクシカの大腸菌について人への危害因子として食中毒起因因子と薬剤耐性を調査したところ、鹿児島県本土などのシカよりも保有率が低い傾向であることを確認した。ヤクシカの調査を継続することにより、食の安全の一環として、安全なジビエの流通・消費に貢献したい。

10:40 -11:00
「チョウに文字が書かれていたら・・・」
金井賢一(奄美高校)
屋久島でアサギマダラやリュウキュウアサギマダラに文字が書かれていたら,それはチョウを研究している方のメッセージです。その内容をご紹介します。もしも見かけたら,是非写真を撮って情報をお寄せください。

11:00 -11:20
「ヤマビルの吸血特性と寿命」
半谷吾郎(京都大学)
屋久島で採取したヤマビルを実験室で飼育して、どのくらいの量を吸血するのか、吸血せずにどのくらい生きるのか、体重はどのように変化するのか、などを調べました。屋久島の現地で調べなくては分からないこともたくさんあり、屋久島にお住いの皆さんにもぜひご協力をお願いできればと思っています。

11:20-11:40
「1950年代屋久島の猟師はどのような人びとであったかー後継者の語る1950年代の屋久島と野生動物ー」
服部志帆(天理大学)
発表者は、2015年8月~2021年1月にかけて行った聞き取り調査をもとに、1950年代の屋久島において行われていた狩猟活動の詳細や猟師の社会的地位を明らかにし、狩猟活動の背景や成立基盤について考察を行う。聞き取りの対象としたのは、発表者がこれまで解読作業をすすめてきた霊長類学者・川村俊蔵のフィールドノートに記載されていた猟師本人・親族・知人(計44人、58~92歳)である。集落および猟師ごとに決まっていた慣習的な猟区とその利用、狩猟活動、野生動物の利用、信仰、サルや猟に対する禁忌、儀礼について述べ、猟師の両義性や外部社会との関係を検討する。

11:40-12:00
「屋久島・口永良部島ユネスコエコパークに対する地域住民の認識に関する研究」
戸田恵美
生物圏保護区(Biosphere Reserve; BR)の地域振興を担う役割に注目した。聞き取り調査を分析、BRの機能に対する回答者の認識を検討した結果、地域振興や生活に結びつける傾向は弱かった。自然遺産の経済効果が顕著で、BR活動に住民の関心が向かないこと、また、地区ごとの産業形態や生活文化の多様性、保護制度の影響も違い、地域振興の文脈が地区により異なることが原因と考えられた。さらに、保護制度と観光との葛藤と自然環境の管理体制の欠如もそこに影響すると考えられた。

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