屋久島低地照葉樹林の生物多様性とその保全―ライントランセクト調査報告

 屋久島の低地照葉樹林は生物種多様性と希少植物の宝庫です。特に近年、ラン科植物をはじめ菌従属栄養植物に新種、日本新産種が数多く発見され、その貴重な森の価値を改めて見直し、後世に残すべき保全の対策が求められる時期を迎えています。
 「屋久島照葉樹林ネットワーク」は屋久島の中にわずかに残された河川流域の詳細な植生、希少種の調査を実施しています。今回は屋久島の16河川流域34地点で実施したライントランセクト法による植生調査の結果から見えてきた屋久島の低地照葉樹林の状況をお伝えします。

<報告>斉藤 俊浩 (屋久島照葉樹林ネットワーク)

斉藤 俊浩 (さいとう としひろ)<プロフィール>
千葉県出身。2001 年より屋久島に移住。ヤクタネゴヨウ調査や 2004 年から行われた九州大学の矢原トランセクト調査に参加することにより屋久島の植物、特にシダに詳しくなる。「九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター 屋久島ステーション」の管理人。屋久島での各種植物調査研究の補助をする傍ら、宮之浦にあるヤクシカ精肉店「ヤクニク屋」にてヤクシカの解体、精肉をする。ワナ猟の狩猟免許を持つが、捕獲することはまれ。