2024年12月14日(土)(第1日)
*はオンラインによる発表です。
10:45-11:00
「屋久島における狩猟活動の変容と現代的意義」
服部志帆(天理大学)
発表者はこれまで屋久島において霊長類学者・川村俊蔵のフィールドノートをもとに1950年代の狩猟活動を明らかにしてきたが、本発表ではこれ以降現代に至るまで狩猟活動がどのように変容してきたのかを検討したい。
11:00-11:15
「屋久島における海の共的資源利用、永田の浜/磯の入札制度からの教訓」
中島成久(法政大学名誉教授)
屋久島の海の共的資源とは有用海藻、ウミガメの卵、イソモンをさす。永田の浜/磯ではウミガメの卵、イワノリの入札制度が1960年代まで存在した。監視と罰則の実効性があり、資源の持続的利用があった。海の共的資源をめぐる環境は山の大面積皆伐、1988年の鹿児島県ウミガメ保護条例、1993年世界遺産登録後の観光客急増によるイソモン人気の高まりなど急変している。こうした現状に対してどのような施策が可能であるだろうか。
11:15-11:30
「写真展『猿、鹿、屋久島。』開催」
奥田達哉(野生動物写真家)
屋久島西部で撮影したヤクシマザルとヤクシカの生態、就中、サルとシカの間の交流関係を紹介する写真展開催について。
11:30-11:45
「屋久島におけるニホンザル農作物被害問題の現状と課題」
大坂桃子(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士3年)
屋久島では集落ごとにニホンザル農作物被害問題に関して異なる状況がみられることに注目し、各集落で区長や農家への聞き取り調査、電気柵視察などをおこなった。そこから、それぞれの集落における被害認識の在り様とそれにつながる要因を考察した。
11:45-12:00
「屋久島低地照葉樹林の種多様性と保全の現状」
手塚賢至(屋久島照葉樹林ネットワーク)、山下大明(屋久島照葉樹林ネットワーク)、斉藤俊浩(屋久島照葉樹林ネットワーク)、手塚田津子(屋久島照葉樹林ネットワーク)
屋久島の河川流域に僅かに残された林齢150年以上の照葉樹林は、近年ヤクノヒナホシやヤクシマソウ等の新種植物の発見が相次ぎ、絶滅危惧種をはじめ、多くの希少植物が生育する種多様性の宝庫です。この貴重な植物達の自生地の現状を報告し、保護の道筋を探ります。
写真 一湊川流域を調査する-
12:00-12:15
「屋久島における在宅看取りのケーススタディ」
杉下智彦(屋久島尾之間診療所)
屋久島尾之間診療所では、関係機関との協働により、2020年から10例を超える在宅看取りを経験してきました。背景や状況が異なるなかで、どのような体制で終末期を支援してきたのか、事例研究として報告します。
2024年12月15日(日)(第2日)
10:15-10:30
「サルとシカとナトリウム: なぜ野生動物は食塩なしに生きられるのか」
半谷吾郎(京都大学生態学研究センター教員)
屋久島の森に生きる動物たちは、どうナトリウムを摂取しているのでしょうか。サルとシカの食物のナトリウム含有量、飼育個体での摂取量の測定、ナトリウム不足に対する生理的な反応など、わたしたちの最近の研究結果を発表します。
10:30-10:45
「野生ヤクシマザルと飼育ニホンザルの腸内細菌の発酵能力の比較」
南川未来(京都大学理学研究科修士2年)、佐竹まどか(宇都宮大学地域創生科学研究科修士2年)、半谷吾郎(京都大学生態学研究センター教員)
季節で食物が大きく変わる野生のヤクシマザルと、愛知県犬山キャンパスの放飼場およびグループケージ内の飼育ニホンザルで、腸内細菌の発酵能力に違いがあるかを検証した。本発表では主に葉を食べる春と果実を食べる秋に行った実験結果を報告する。
*10:45-11:00
「ニホンザルでは異性から接近される個体はより長くグルーミングされるのか?」
キム ジャオク(京都大学)
霊長類において、グルーミングは衛生的機能を持つだけでなく、社会的な絆や交尾戦略としても重要な役割を果たします。本研究では、屋久島に生息するニホンザルがグルーミングを交尾戦略として利用できるかどうかを調査しました。
*11:00-11:15
「ヤクシマザルの太陽光選択:日向?日陰?半日陰?」
田伏良幸(京都大学理学研究科博士)
太陽光には日向・日陰だけでなく、半日陰もある。これらが候補となるとき、ヤクシマザルはどの気温・湿度でそれらの太陽光を選択し、休息しているのかを明らかにする。
写真 半日陰
11:15-11:30
「最近の屋久島のチョウの話題」
金井賢一(鹿児島昆虫同好会)、守山泰司(鹿児島昆虫同好会)
屋久島の身近にみられるチョウについて,分かっていることと,これから見つけてほしいことを紹介します。
写真 有良終令幼虫1
11:30-11:45
「口永良部島におけるサンカクハゼ属の繁殖行動と性転換」
清和凌河(広島大学統合生命科学研究科博士1年)
ハゼ科魚類サンカクハゼ属は、メスからオスに性転換(雌性先熟)することが知られている。本研究では、口永良部島に生息するサンカクハゼ属3種の性様式と繁殖生態を明らかにするため、潜水行動観察を実施した。
写真 ハタタテサンカク2